親族から借りて相続税を支払う場合の注意点

相続税は納付期限が10か月以内と決まっています。その納税資金が足りない場合、親族から借りて納税する方法もありますが、間違えると贈与と判断される可能性もあります。

以下に親族から借り入れをする場合の注意点を記載します。

①金銭消費貸借契約書を作成する

記載しておきたい内容

  • 借入金額
  • 借入日
  • 貸主と借主
  • 利率
  • 返済方法
  • 返済期間
  • 保証人や担保の有無

口約束だけでは避ける。

②収入印紙を忘れない

 金銭消費貸借契約書は課税文書にあたります。

 そのため、借り入れ先が金融機関・家族関係なく、収入印紙を貼る必要があります。

 金額に応じて印紙税は変動するため、確認をしてください。

 ネットにも金額ごとの印紙税表はありますが、不明な場合は税理士へ相談してください。

③利息について

私が税理士に相談した当時は金利上昇前だったため、

「当面の間、利息は付さないものとする。今後の金利動向によって、金利について協議する」

といった文言を残すことを税理士より助言をもらいました。

現在は金利の上昇局面にあり、当時より利息が必要になっている可能性があります。

金融機関よりも利息は低く設定できる可能性がありますが、低すぎる場合も問題となります。

適正値はやはり税理士に相談することがよいかと思われます。

④振込は記録に残す

税理士から説明を受けたポイントです。

  • 貸付も銀行振込
  • 毎月の返済も銀行振込
  • 通帳に履歴を残す

贈与でないか疑われた際、金銭消費貸借契約書に基づいて現金の移動をしていることを説明しやすくなります。

⑤毎月返済をする

実際に返済し、

  • 毎月返済する
  • 約束どおり返済する

という実績を残すことが大切です。

親族間だから、と途中で返済をやめてしまうと贈与とみなされる可能性があるようです。

私の場合

私自身、相続時精算課税制度を利用した生前贈与の際に発生した贈与税は、親族から借り入れをして納付しました。

その際は、税理士へ相談しながら、

  • 金銭消費貸借契約書を作成すること
  • 必要に応じて収入印紙を貼付すること
  • 銀行振込で貸付・返済の記録を残すこと
  • 毎月返済を行うこと

などの点に注意して契約しました。

一方、相続税の納付時は、納金融機関から借り入れを行う方法を選びました。

納税額や状況によって適した方法は異なるため、それぞれのケースに応じて税理士へ相談しながら検討することが大切だと感じています。

相続税を金融機関から借りた方法についてはこちらです。

まとめ

親族から借りて相続税を支払うことは、有効な選択肢の一つです。

しかし、親族間だからといって口約束で済ませるのではなく、

  • 契約書を作成する
  • 収入印紙を確認する
  • 利息を検討する
  • 銀行振込で記録を残す
  • 実際に返済する

といった点をしっかり整えておくことが重要です。

契約内容によって税務上の取扱いが異なる場合もあるため、不安がある場合は税理士へ相談しながら進めることをおすすめします。

相続税ローンを比較|地方銀行・信用金庫・ノンバンク

相続税の納税資金を準備するため、私は3つの金融機関へ相談しました。

提示された条件は次のとおりです。

※以下は相談した当時の条件です。金利や融資条件は時期や収入、担保状況によって異なります。

金融機関金利返済期間担保その他
地方銀行A(紹介先ノンバンク)約3.6%15~30年不動産担保保証会社は不明
地方銀行B約2.2%(短期プライムレート連動)15年不動産担保プロパー融資(保証料なし)
信用金庫C約2.6%15~20年不動産担保プロパー融資

私が最終的に選んだ理由

最終的には、地方銀行Bで借入を行いました。

理由は、

  • 金利が最も低かったこと
  • 以前から住宅ローンで取引があり、相談しやすかったこと
  • プロパー融資で保証料が不要だったこと

など、総合的に判断したためです。

プロパー融資とは

銀行などの金融機関などが保証を付けずに自らのリスクで直接貸し付ける融資。

保証付き融資では、借り手が返済できない場合、信用保証協会が銀行に代わって返済を行います。銀行の貸し倒れリスクは低くなりますが、借り手は保証料を支払う必要があります 。

一方、プロパー融資は銀行が直接リスクを負うため審査は厳しく、返済能力や担保、不動産の評価などを総合的に審査して融資が判断されます。

私の場合は相続した不動産を担保として借り入れを行いました。担保の有無や内容は金融機関や融資内容によって異なります。

メリット

  • 保証料が不要なため、借入時のコストを抑えられる
  • 融資額の自由度が比較的高い
  • 銀行との取引実績ができ、将来的な融資や金利交渉につながる可能性がある

デメリット

  • 銀行が直接リスクを負うため、審査は比較的厳しい
  • 保証会社付きローンより審査に時間がかかる場合がある
  • 借入条件は収入や資産、事業内容などを総合的に判断される

借り入れと返済シミュレーション

※以下は借入額3,000万円、元利均等返済・ボーナス返済なしを前提とした試算です。実際の返済額は借入条件によって異なります。

金融機関金利返済期間毎月返済額(概算)総返済額(概算)利息総額(概算)
地銀B(プロパー)2.2%15年約19.6万円約3,533万円約533万円
信用金庫C(プロパー)2.6%15年約20.2万円約3,638万円約638万円
ノンバンク3.6%15年約21.6万円約3,886万円約886万円

同じ3,000万円を借りる場合でも、

  • 地銀Bと信用金庫Cでは、利息に約100万円
  • 地銀Bとノンバンクでは、利息に約350万円

の差が生じる試算となりました。

そのため、私は金利だけでなく、保証料や既存の取引状況も含めて総合的に判断し、地方銀行Bを選びました。

まとめ

私は最終的に地方銀行Bを選びましたが、それは私の状況に最も合っていたからです。

金利だけを見ると数字の違いは小さく感じますが、借入金額が大きくなると総返済額には大きな差が生じます。

また、保証料や返済期間、既存の取引状況など、金融機関によって条件はさまざまです。

相続税ローンを検討する際は、一つの金融機関だけで判断せず、複数の金融機関を比較・相談することをおすすめします。

相続税のために銀行ローンを借りた流れ|地方銀行3行・信用金庫1庫に相談した実体験

前回の記事では、相続税の支払方法として、私が銀行ローンを選んだ理由を紹介しました。

今回は、どのように金融機関へ相談し、借入まで進めたのか、実際の流れを紹介します。

相続税の納付期限は相続発生から10か月以内です。

そのため、借入を検討する場合も早めに動き始めることが大切だと感じました。

私が相談した金融機関

私が相談したのは、

  • 地方銀行 3行
  • 信用金庫 1庫

の計3つの金融機関です。

最初は窓口「相続税の納税資金として借りたい」と伝えれば進むと思っていました。

しかし実際には、相続税のための借入は一般的な住宅ローンとは異なり、金融機関によって対応や考え方が違うことを知りました。

提出を求められた書類

私の場合、金融機関からも求められた書類は概ね以下の通りです。

  • 相続税申告書(または税額が分かる資料)
  • 登記事項証明書
  • 固定資産税評価証明書
  • 本人確認書類
  • 源泉徴収票と3期分の確定申告書類など収入が分かる資料
  • コインパーキング運営会社との契約書

金融機関ごとの対応

まず、相続税納付のためのローンは、どの金融機関にもあるものではない、ということです。

地銀A

相談した地銀の1つでは、対応したローンがないとのことで、あまり相談にはのっていただけませんでした。また、取引があるなら検討するが、まるっきり新規での相続税借り入れは難しいともいわれました。

後日、「提携先のノンバンクであれば対応できる可能性があります」とわざわざご連絡をいただきました。今回は他の金融機関で手続きを進めていたためお断りしましたが、新規の相談にもかかわらず親身に対応していただいたことが印象に残っています。

地銀B

私が住んでいるエリアでは大手の金融機関でした。

窓口に相談にいきましたが、対応したローン商品はないとのことで、受け付けてもらえませんでした。

地銀C

住宅ローンを借りている金融機関で、以前からお付き合いがありました。

以前から相続税が高額になる可能性を担当者へ相談していたため、相続発生後もスムーズに話を進めることができました。

結果として、こちらでプロパーローンというもので借り入れし、納税することになりました。

 ※プロパーローンとは、金融機関が保証会社を通さず独自の審査基準で融資を行うローン

信用金庫D

新規での借り入れ相談で伺いました。それまでは口座を持っている程度です。

信用金庫は地域密着型の金融機関ということもあり、新規の相談にも前向きに対応していただきました。

以上のように会社員収入や賃料収入を提示、また不動産価値が高かったとしても、ローンを借り入れできるとは限らない結果となりました。

また、担当者によっても反応が異なり、相談する金融機関を複数持つことの大切さを実感しました。

借入までに時間がかかった

相続税には納付期限があります。

一方で、銀行の審査はすぐに終わるわけではありません。

地銀Cは1か月程度、信用金庫Dは2か月程度と、審査に時間がかかりました。

そのため、相続税の納付方法を銀行ローンで考えている場合は、できるだけ早く相談を始めることをおすすめします。

まとめ

金融機関への相談は少し緊張しました。

しかし実際に相談してみると、それぞれの金融機関が親身になって話を聞いてくれました。

一方で、同じ「相続税の納税資金」という相談でも、

  • 対応できるローンがない
  • 前向きに検討してもらえる
  • 金利や返済期間が異なる

など、金融機関によって提案内容は大きく違いました。

また、複数の金融機関へ相談したことで、提示された条件を比較できただけでなく、それぞれの提案を踏まえて交渉することもできました。

相続税は納付期限が決まっています。

だからこそ、相続が発生してからではなく、相続が見込まれる段階から金融機関へ相談しておくことが大切だと実感しています。

相続税の納付方法|現金をどのように準備するか

相続税の納付は原則「現金一括」

相続税は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内に現金で一括納付しなければなりません。

そのため、多くの方は「どうやって現金を準備するか」を考えることになります。

私も実際に悩みました。

現金を準備する主な方法

① 預貯金・相続した現金で支払う

最も一般的な方法です。

メリット

  • 利息がかからない
  • 手続きが簡単

デメリット

  • 多額の現金が必要

② 土地などを売却して現金を作る

不動産を売却して納税資金を確保する方法です。

メリット

  • 大きな資金を準備できる

デメリット

  • 10か月以内に売却する必要がある
  • 相場より安い価格にとどまる可能性がある

③ 親族から借りる

家族などから借りて納税する方法です。

注意点

  • 金銭消費貸借契約書
  • 利息
  • 返済条件
  • 返済実績

などを整えておく必要があります。

④ 金融機関から借りる

私が選んだ方法です。

土地を担保に銀行から借入を行い、納税資金を準備しました。

メリット

  • 土地を売却せずに済む

デメリット

  • 審査や書類準備に時間がかかる
  • 利息負担がある

金融機関からの借り入れについてはこちらの記事

金利や期間などの条件比較はこちらの記事

現金一括納付が難しい場合

⑤ 延納

一定の条件を満たせば、分割で納付できる制度です。

利用には要件があり、利子税も発生します。

⑥ 物納

現金でも延納でも納付が困難な場合に、不動産などで納税する制度です。

ただし利用条件は厳しく、誰でも利用できる制度ではありません。

私の場合

私は、相続前に相続時精算課税制度を利用して不動産の生前贈与を受けていました。 そのため、税理士へ相談したところ、私のケースでは延納を利用するよりも銀行から借入を行う方が適しているとの提案を受けました。

理由としては、相続財産に占める不動産の取扱いなどを踏まえると、延納を利用した場合は利子税や返済期間の面で不利になる可能性があるとの説明を受けたためです。

そこで、税理士と相談した結果、銀行から借入を行って相続税を納付する方法を選びました。 相談した金融機関は、 地方銀行3行 信用金庫1庫 です。 最終的には、相続した不動産を担保として借入を行い、納税しました。

銀行ローンを選んでよかったと思うこと

私が土地を売却しなかった理由の一つに、祖父母から 「この土地を守ってほしい。できれば建物は建てないでほしい。」 と言われていたことがあります。

私はその土地を担保に金融機関から借入を行い、相続税を納付しました。 現在は、祖父母の代から続くコインパーキング経営による賃料収入を返済に充てながら、土地を手放さずに維持することができています。

一方で、金融機関へ「相続税の納税資金として借入をしたい」と相談するケースは、それほど多くないようです。 実際、私も地方銀行2行と信用金庫1庫へ相談しましたが、相続税納付のためのローン商品は取り扱いがないと言われたこともありました。

その経験から強く感じたのは、相続税対策は相続が発生してからでは遅い場合があるということです。 先代から受け継いだ財産や想いを守るためにも、税理士や金融機関へ早めに相談し、準備を進めておくことが大切だと実感しました。

相続税は「いくらかかるか」だけでなく、「どうやって支払うか」まで考えておくことが重要です。私自身、相続前から税理士や金融機関へ相談していたことで、複数の選択肢の中から納得できる方法を選ぶことができました。